返すはずのノートを、また持ち帰った
2026年6月14日
部室。西日。誰もいない。
みんな就活とか課題とかで、最近この時間はもう来ない。小平のこの部屋に、わたしだけ。
返すつもりで持ってきたノート、机に置いて、結局また鞄に戻した。
借りたとき挟まってた付箋が、まだ残ってて、それを見たら返せなくなった。
べつに、大した付箋じゃない。角の折れた黄色いやつに、「ここ好き」って書いてあるだけ。どのページのことを言ってるのかも、もう分からない。わたしの描いた線のどこかなんだけど、本人に聞くのも、なんか、できない。
誰もいない部屋って、昼より音がする。
椅子がきしむ音とか、カーテンが風で鳴る音とか。自分の鉛筆の音まで、やけに大きく聞こえる。
ノートはまた鞄に入れて、持って帰った。
付箋は、はがさずにそのまま。返すのは、たぶん来週。
来週も、たぶん返さない。