ベビーカーで入った古本屋で、昔ここに川があったと聞いた話
2026年6月16日
保育園のお迎えの帰り、娘がベビーカーでいまにも寝そうだったから、起こさないように、いつもより一本だけ遠回りした。
寝かかってる子を乗せて歩くときの、あの「頼むからこのまま寝ててくれ」って祈る感じ、伝わるだろうか。少しでも段差があるとヒヤッとするやつ。
そしたら、いつも通らない道に、知らない古本屋があった。間口のせまい、看板も控えめな店。
入口でベビーカーを止めて、娘の寝顔をもう一回確認してから、自分だけそうっと中の棚をのぞいた。
買ったのは、絵本でも料理本でもなくて、昔の散歩地図。
この街の、何十年か前の地図だった。レジに持っていきながら、自分でもちょっと笑った。3歳児を連れて入って、買うのがこれか、と。
お会計のとき、店の人が「この辺、昔は川が流れてたんですよ」って教えてくれた。
今は普通の道になってるけど、ここ、ぜんぶ水だったらしい。言われてみれば、ゆるく低くなってる気もする。
それを聞いてから、帰り道がやけに面白くて。
「ここ、川だったのか」と思いながら、さっき来たのと同じ道をゆっくり歩いた。何でもない一本道が、急に底が二重になったみたいに見えた。
娘は結局ずっと寝てたので、この話は知らない。
いつか地図を広げて教えてやろうと思う。たぶん、そんなに興味ないだろうけど。